忙しい医療人のための経営思考法
こんにちは。日々のお仕事、ご苦労様です。
今回は、『医療人のための経営思考』をテーマにお話ししていきます。
経営思考法とは?
経営思考法とは、将来像やビジョンに近づくため、自分と周りの環境を分析して、どのように行動するかを考える方法です。
これは、会社をどのように成長させるかを考える思考プロセスと同じです。
ビジョンや理念を前提に、自社が持つ強み・弱みや競合、顧客の分析を行い、それらをもとに計画を構築する、これが経営の流れです。
この思考法は、会社経営に限らず、個人の成長を目的とする場合にも用いることができます。
例をあげながら、それぞれの流れを見ていきましょう。
①ビジョンの設定
まずはじめに、ビジョンを設定します。
ビジョンを行動の基盤とすることで、一貫性のある選択を行うことができます。
これを、自分が主体的に考えて設定します。
『誰に・何を・どのように』という形式をとることで、後の行動までを明確に定めやすいです。
例えを挙げてみましょう。
患者さんに、安全な医療を、担当チームの技術力で、提供しよう、というビジョンを定めるとします。
この場合、患者さんが安全な医療を受けている状態、が理想的な状態となるでしょう。
ビジョンについては、以下のページにて深堀してお話ししています。
さて、これを達成するために、今度は分析を行います。
②自分と周りの分析を行う(環境分析)
ビジョンの設定ができたら、その達成のために使う武器や、敵の分析を行います。
これを行うためのフレームワークが、『SWOT分析』というものです。
現状の分析・把握は重要です。自分や相手の状態がわからなければ、目標のための有効な手立てを継続的に行うことが難しいからです。
このフレームワークを用いることで、簡潔に現状の分析を行うことができます。
SWOT分析は、以下の要素を分析するツールです。
S(Strength-強み) :強みに当たる自分の資源(経験・知識・ノウハウなど)
W(Weakness-弱み) :弱みに当たる自分の資源
O(Opportunity-機会):顧客の動向・活用可能な資源
T(Threat-脅威) :目標達成において障壁となる外部の事柄
S(強み)・W(弱み)は、自分の分析にあたるため、内部環境分析といわれます。
O(機会)・T(脅威)は、自分以外の分析にあたるため、外部環境分析といわれます。
これをどのように成立させるかは、やや複雑なテーマとなるため、別の記事でお話しします。
ここでは先ほどの例をもとに、それぞれを仮定して分析してみましょう。
S:参考文献を通して得たレントゲンの被ばく低減ための技術知識を保有している。
W:被ばく低減のための施策を行った経験やノウハウがない。
O:地域の高齢患者から被ばく量に関する相談が増えており、被ばく量が病院選びの理由のひとつになっている。
T:近隣の病院は最新設備を導入し、被ばく量は多いが質の高い医療を提供している。
といった具合です。今回はこちらを分析結果とします。
ここまでで自分と周りの分析を行い、現状を把握することができました。
次に今後の計画を策定していきます。
③計画の策定(戦略立案)
先ほどの分析をもとに、ビジョンの達成に向けた行動方針を決定していきます。
この時キーとなるのは、『何を×どこに』という観点です。
『何を×どこに』は、事業の成長方向性を考えるためのフレームワークです。これを先ほどの例と照らし合わせてみましょう。
『被ばくに関する知識×地域の被ばく量を気にする高齢患者』=患者に安全な医療を届ける(ビジョン)
となります。
このように考えることで、自分が行使するべき能力と、それをどこに発揮するのかを明確にすることができます。
例えばこれをもとに、被ばくに関する知識を活用し、レントゲン検査の安全性などを高齢患者さんに見やすい形で記載したノートブックを渡す、という試作を行うことで、ビジョンの達成に近づくことができます。
このように、ビジョンから戦略に一貫性を持たせることで、効果的な行動が可能になるのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、経営思考法をテーマに、その流れについて見ていきました。
参考になりましたら、ぜひ活用していただいて、よりよい医療提供をされることを願っています。
中小企業診断修得者、診療放射線技師、簿記2級の資格を保有。医療現場での経験と、経営や会計の知識を活かし、目まぐるしく変わる医療現場における意思決定の支えとなれるよう尽力します。